<わんちゃんの脾臓腫瘤>
「脾臓(ひぞう)」という臓器は普段聞きなれない臓器名かもしれません。
しかし高齢犬では、とっても腫瘍ができやすい臓器なのです。

脾臓腫瘤の種類はたくさんあります!
・良性のもの:血腫、結節性過形成、骨髄脂肪腫etc
・悪性のもの:血管肉腫(脾臓腫瘍でいちばん嫌なガン)、組織球肉腫、リンパ腫etc

脾臓腫瘤(できもの)の特徴は?
①高齢犬で頻発し、様々な種類の腫瘤ができる
②良性と悪性どちらもありうるが、手術をしないとどちらかはわからない
③良性でも悪性でも大きいものは「破裂してお腹の中で大出血」を起こしうる

③の特徴がとっても厄介です。ある日突然破裂して、貧血によりぐったりしてしまう。
そのまま緊急手術になることも多いです。

仮に良性のものでも、破裂により命に関わるという点が重要です。

<脾臓に腫瘤(できもの)が発見された時の治療方針>
専門家の間でも、すこし意見が異なります。
当院では”過剰診断”と”過少診断”を防ぐため、下記のような方針です

①腫瘤が3㎝以上で、なおかつ脾臓からせり出している場合手術
②腫瘤が3㎝以下の場合経過観察(十分に注意して)
③腫瘤が脾臓の中にあるとき(せり出していない)経過観察(十分に注意して)
④経過観察中に、比較的急速に大きくなる場合手術

脾臓摘出手術はむずかしくありません。
従って過剰に(安易に)手術へ進まないよう注意しています。
しかし、破裂する可能性があるなら早めに摘出しています。
手術をすべきかどうかの判断は難しいのです。
次の記事では脾臓腫瘤摘出の実例をご紹介します