猫に独特の病気が膿胸(のうきょう)です。
胸にドロドロの膿が溜まる恐ろしい病気です。
原因の多くが他の猫とのケンカです。
野良猫に多い病気ですが、家猫でも起こります。
複数飼育されている方はご注意下さい。
膿胸の原因と症状
原因のほとんどは、猫同士のケンカです。
相手の猫の牙や爪が胸に深く刺さった場合、
そこから胸の中全体に細菌感染が拡大します。
ドロドロの膿が胸に貯留して、呼吸困難となり来院します。
膿胸の治療例
ぐったりして呼吸が早いということで来院されました。
来院時は意識も朦朧としており、敗血症(全身に細菌毒素が回ってしまう)状態でした。
緊急対応として、胸に針を刺し、膿を抜きました。
400mlもの膿が抜けました。
状態が落ち着いたところで次の治療を始めます。
膿胸の治療で重要なのは胸腔洗浄です。
胸を閉鎖環境にしないために、数日間、胸の中を洗浄します。
まず胸腔ドレーンというチューブを設置します。
かつては全身麻酔で設置していました。
しかし最近では海外製のドレーンを使用しており、無麻酔で設置が可能になりました。
膿胸の猫は全身状態が悪いことが多いので、無麻酔は有難いことです。
チューブから点滴液を入れて、胸腔を洗浄し、点滴液を回収します。これを胸腔洗浄と呼びます。
点滴液を入れて、、、
洗浄後の点滴を回収してきます
数日間胸腔洗浄と抗生剤投与を実施しました。
洗浄液は日に日に綺麗になります。
膿が出なくなったら、ドレーンを抜きます。
複数飼育されている方はご注意ください。
具合が悪く、呼吸が早くなったらすぐに動物病院へ行きましょう。